【ご質問】
スコットトランスの一次電流について教えてください。
【回答】
スコットトランスの一次電流や運用について、よく御質問をいただきますので、以下に説明致します。
(すみません。二乗がうまく書けませんので、Aの二乗はA^2と記述します)
下記は理論的記述ですが、(1)(2)項につきましては、弊社製 22kVA 200V/200Vスコットトランスで実測検証致しております。主座とT座の関係は下記の図面をご参照下さい。

定格一次電圧:E1 定格一次電流:I1
定格二次電圧:E2 定格二次電流:I2
とします。
√3×E1×I1=2×E2×I2 より
I1=(2×E2×I2 )/ (√3×E1)
一般的に一次電流の三相分を示す時はU・V・W相について
それぞれ、I1u , I1v, I1w と表し、二次電流の二相分を
示す時は主座、T座についてそれぞれ I2m, I2t と表します。
- 二次電流 主座100% T座 0% のとき
I1u 、 I1w : 86.6% (I1u=I1w=0.866×I1)
I1v : 0%
(2)二次電流 主座 0% T座 100% のとき
I1u 、 I1w : 50% (I1u=I1w=0.5×I1)
I1v : 100% (I1V=I1)
(3)一般負荷(その1)
様々な二次電流につきまして以下に示します。
主座の二次電流が a×100%(I2m=aI2)
T座の二次電流が b×100%(I2t=bI2)
である場合を考えます。
但し、主座とT座のそれぞれの二次電流(I2m , I2t)
の力率は等しいとします。
T座の一次電流(I1v)は
I1v=(2b×E2×I2 )/ (√3×E1) ・・・・・・・①
一次電流V相のI1に対する比率をR1vとすると
R1v=I1v / I1=b ・・・・・・・・②
一次電流U相、W相の I1 に対する比率をそれぞれ、R1u、R1w とします。
主座の一次電流は 主座の二次電流により生じる一次電流とT座の一次電流の
1/2分流との合成(90°位相差のベクトル合成)であるから
I1u=I1w=√[(a・E2・I2 / E1)^2+(b・E2・I2 /√3・E1)^2]
=E2・I2√(3・a^2+b^2) / (√3・E1)・・・・・③
③式と(√3×E1×I1=2×E2×I2) より
R1u=R1w=I1u/I1 =I1w/I1=√(3・a^2+b^2) /2 ・・・・・④
a=b=1の時が I2m=I2t=I2 で 100% 等負荷運転時
a=1 b=0 の時が 上記(1)の場合
a=0 b=1 の時が 上記(2)の場合に相当します。
留意すべきことは 主座、T座の二次電流(I2m ,I2t)の力率が等しくない
場合は、①②式はそのまま成立するが、③④式は成立しないことです。
等力率でないときは、次の(4)を参照下さい。
(4)一般負荷(その2)
主座の二次電流の力率と、T座の二次電流の力率が等しいとは限らない場合
について記します。
R1vは、(3)の②と同じで R1v=b
R1u、R1wについては、主座とT座の二次電流力率が等しくない場合は
両者の電流は異なります。
θ=主座の二次電流力率角-T座の二次電流力率角とします。
但し、進みを(+)遅れを(-)に取ります。
例えば、
主座0° T座遅れ30°のとき θ=0°-(-30°)=30°
主座遅れ30° T座0°のとき θ=-30°-0°=-30°
主座進み30° T座遅れ30°のとき θ=30°-(-30°)=60°
R1u=√(3・a^2 +b^2+c)/2 ・・・・・・⑤
R1w=√(3・a^2 +b^2-c)/2 ・・・・・・⑥
但し、⑤⑥式において
c=2√3・a・b・sinθ・・・・・・・・・・・・⑦
主座 T座とも 全負荷時(a=b=1)における各相一次電流とθの
数値例を下表に示します。
θ |
-90° |
-60°
-120° |
-30°
-150° |
0°
±180° |
30°
150° |
60°
120° |
90° |
R1u |
0.366 |
0.5 |
0.753 |
1 |
1.197 |
1.323 |
1.366 |
R1v |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
R1w |
1.366 |
1.323 |
1.197 |
1 |
0.753 |
0.5 |
0.366 |
注 θの全域(-180°~ 0°~+180°)における一次電流の
最小値:0.366 最大値:1.366
(5)スコットトランスの運用について 二次二系統の負荷(電流及び力率)が
ほぼ同程度であれば、主座・T座の接続については、特に注意する必要は
ありません。しかし、二次二系統間の負荷に大きな差異のあるときは、
以下のことに御留意下さい。
- 二次二系統の負荷の大きさに大差のあるとき、何に重きを置くかにより運用法が異なります。
・一次側の電流値の不平等を軽減したい場合は、大負荷側をT座、小負荷側を
主座に接続してください。
・トランスの発生ロスを、なるべく軽減したい場合は、大負荷側を主座、小負荷側をT座に接続してください。
(弊社22kVAスコットトランスでの実測例:単相一回路のみの定格電流通電の場合、主座通電の時の負荷損はT座通電時の負荷損の約80%)
・なお、負荷が一系統の場合は、主座のみの単相運転(一次側U,V端子のみ通電
二次側 u-0u端子のみ使用)も原理的には可能です。この場合、三相通電時
よりも無負荷損も低減されます。
(弊社22kVAスコットトランスでの実測例:単相通電時の無負荷損は、三相通電
時の無負荷損の約50%)
ただし、三相に接続されたトランスを無造作に単相接続にしてはいけません。
一次側を開閉回路・保護回路を含めて単相系統に整備する必要があります。
② 二次二系統の負荷の力率に大差のあるとき、(4)項を参照して各相の電流をチェック
してください。二系統の負荷率が大きい時にはU,W相のいずれかにおいて定格一次
電流を越えることがありますので、注意を要します。
③ 二次一系統が軽負荷時における他の一系統の過負荷運転について
乾式トランス及びモールドトランスにおいては二次二系統中の一系統が軽負荷
であるからといって、そのことによる他一系統の過負荷運転はできません。
油入りトランスでは、一系統の軽負荷により、油温上昇が低減されますので、
他の一系統に若干の過負荷運転が許容される場合があります。これは、設計内容
により異なりますので、該当トランスメーカーにご相談下さい。
以上
参考事例 スコットトランスの事例
http://www.jibu.co.jp/case-study/archives/page8.htm
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